海自の情報ネットワーク内部資料、出入り業者に流出(2003/01/08 asahi.com)という記事があった。つ、ついに、自衛隊までやってしまったか…と思いきや、よく読むとたいしたことはないようね♪
まず古い!2001/1/11の日付のものらしい。それから防衛秘密に指定されてないらしい。しかも海自広報室によれば「部外者が閲覧しても差し支えない内容」らしい。なんだか見出しからすると凄い事件に感じてしまった…。それこそ受け方の問題ですが、「流出」って言われると「漏れ出た」ように感じますよね。でもよく考えれば「部外者が閲覧しても差し支えない」情報ならば、自然にそうなりますよね。goorooの持論では、情報というものはそういうものだと思います。
さて、同じように印象深かった「顧客情報渡し調査委託 ドコモ関西が同意得ぬまま 解約者2万4000人分」という見出しのニュースについて振り返ることにします。記事によれば「NTTドコモ関西が01年7月から今年8月にかけて、携帯電話契約を解約した約2万4千人分の個人情報について、解約者本人の同意を得ずに調査会社・日経リサーチに提供したことがわかった」という。「サービスの評価などを聞くアンケートに利用した」模様。「ドコモ関西によると、日経リサーチには、携帯電話『ムーバ』の解約者を対象にした調査を委託」し、「8月には6月に解約した約5000人分を提供し」、「個人情報は、9月中旬までにドコモ関西に返却したという」。引き続き記事によれば、総務省消費者行政課の見解は「今回の件は本人の事前の同意なしに目的外に利用したり、第三者に提供したりしている点で、個人情報保護法が全面的に施行されれば違反になる恐れがある」とのこと。
いくつか疑問があったので、考えてみた。
疑問1.本ケースは「本人の事前の同意なしに目的外に利用し」たことになり、個人情報保護法の全面試行後は抵触する恐れがあるのか?
記事にもあるとおり、「ドコモ関西は99年、『お客様情報セキュリティポリシー』を定めた。顧客情報の収集を、サービスの提供・料金請求などに必要な場合に限ることが明記」されている。確かに、解約者に対して当人らの個人情報を用いてアンケートを実施しており、解約された個人からすれば、同意の範囲を逸脱していると感じるに違いない。他方、営利企業としては「解約した理由等を拝聴して現行サービスにフィードバックすることは、サービス提供上必要なこと」と言いたいところかもしれない。この辺り、実際に施行後も線引き位置が微妙となるかもしれないが、安全を期すためには他のドコモグループ各社のように事前に同意を得た形でのアンケートを実施すべきであろう。
疑問2.本ケースのように「第三者に提供し」たことにより、個人情報保護法の全面試行後は抵触する恐れがあるのか?
個人情報の保護に関する法律
(第三者提供の制限)
第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
(略)
4 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
(略) |
法律にもある通り、原則として委託先は第三者にあたらない。これは記事も「今回のような業務委託先の場合は、法が想定する「第三者」にあたらない」として認めているところ。やはり問題となるのは「利用目的の達成に必要な範囲内において」というところであり、この点については疑問1で述べた通り、今回のケースでは微妙であり、解約者のデータを利用するのであれば別途同意を取る方が安全であろう。
疑問3.記事の構成や表現は妥当だったか?
見出しがセンセーショナルに感じたのはgoorooだけだろうか…。「顧客情報渡し調査委託 ドコモ関西が同意得ぬまま 解約者2万4000人分」の下線部分がなんとなく。「顧客情報」と言われると、最近この手の事件が多発しているのもあって気になりますよね。「ドコモ」と言えば世界のドコモですし。問題は「同意得ぬまま」というところ。前述の通り、人によっては「なんで解約後に送ってくるわけ?!」と思うかもしれませんが、案外と「ああ、この間解約したから、その理由が知りたいのか」なんて思う人もいるかもしれませんよね?実際のところ、今回の対象は2ヶ月前までの解約者なので、それほど悪質にも感じません。しかも、日本では黙示の同意なんていう考え方もあって、実際にそういった文化を前提にしたビジネスが慣習化しているのは事実。そういった背景を考慮すれば、施行前にここまで書くのは手厳し過ぎたのではないでしょうか。
しかも、本当の問題は法律の方にもあるのではないでしょうか。この記事にも少し書きましたが、今回の法律は5000件以上の個人データを持つ企業が規制対象で、しかも行政罰。そもそもアングラ業者が主務官庁に届け出ることもないだろうし、警察がいきなり踏み込めるわけでもない。今まで比較的まじめにやってきた一般企業には厳しく、抜け穴を探そうと考えるアングラ業者に優しい、そんな側面を持っているのです。メディアの使命は、善良な者をたたいて面白がることではなく、こうした社会の根本的な問題点を指摘し、国民に知らせ、考えさせることにあるのではないでしょうか。是非ともそういった面で頑張ってもらいたく思います。
最後に、実際の影響としてこんなエピソードを。あるセキュリティセミナーの講師が、同報道の翌日に「昨日、ドコモさんやっちゃいましたね」と、さも違法そうに語ってました。また、ある専門家も「ああ、年末だかにドコモが解約者情報を漏らしたとかいう記事、あったねぇ」と語ってました。もちろん読む側の注意力の問題もあるかもしれませんが、情報を発する側が読み手の知識量やリテラシを考えた上で、慎重に伝える努力も必要ではないでしょうか。
<参考> 新聞記事の全文
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海自の情報ネットワーク内部資料、出入り業者に流出
海上自衛隊の情報ネットワークセキュリティーに関する内部資料が外部に流出し、ネットセキュリティー業者が入手していたことがわかった。資料には主要基地の回線状況や今後の構想案などが盛り込まれていた。海自によると、厚木基地(神奈川県)のネットワーク担当責任者が収集・作成して保管していたが、職場には業者が自由に出入りしていたという。海自は実害はないとしているが、流出経緯などについて調査している。
資料は表紙に01年1月11日の日付がある。自衛隊の防衛秘密に指定されておらず、現在整備中のものとは異なる。海自は「個人用資料で閲覧しても問題はないが、業者に渡すような性質ではない」としている。入手した業者の元幹部は「当時、関係会社の幹部が持ってきたが、経緯はわからない」と話している。
資料は「海上航空部隊における情報通信基盤の整備等について」というタイトルがついたA4判25ページ。米国のネットセキュリティーソフトの日本国内における販売権を持つ業者に流出していた。
前半部分は、佐世保や呉、厚木など防衛庁と国内主要基地を結んだ当時の専用回線ネットワークの整備状況や、各基地内のLAN整備計画が記載されていた。
後半部分は「海自におけるコンピューターセキュリティー基盤整備の構想(案)」というタイトルで、防衛庁と各基地間の接続図があり、指令などを各基地が共有するための整備構想案とみられる。陸海空3自衛隊共同のネットワーク構築計画や、01年度以降の外部からの不正侵入対策や各自衛隊を結ぶシステム開発などのスケジュールが示されていた。
海自によると、資料は厚木基地配属の第51航空隊のネットワーク担当責任者(当時、3佐)が個人的に収集・作成。前半部分は部隊幹部への説明資料、後半部分は各種資料をまとめた。担当責任者は01年3月に異動し、現在はこの資料を持っていないという。
同基地は資料が作成されたとみられる01年1月から2カ月後の3月、「次世代航空指揮通信システム調査研究用器材」として、資料を入手した業者からセキュリティーシステムのソフトを約120万円で購入していた。指名競争入札だったが、発注資料には例示としてこの業者の商品名を記載していた。しかし、ソフトの不具合が生じ、今は利用していない。
海自に対し、この担当責任者は「職場にはネットワーク関係業者が自由に出入りしていた。資料のコピーを同僚に渡した記憶はあるが、業者に直接渡すことはなかった」と話しているという。
<海自広報室の話> あくまでも個人用資料。一部隊の責任者の案で、全体構想とは異なる。部外者が閲覧しても差し支えない内容だが、資料管理という観点から今後は管理を徹底したい。 (2004/01/08)
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| 顧客情報渡し調査委託 ドコモ関西が同意得ぬまま 解約者2万4000人分
NTTドコモ関西が01年7月から今年8月にかけて、携帯電話契約を解約した約2万4千人分の個人情報について、解約者本人の同意を得ずに調査会社・日経リサーチに提供したことがわかった。日経リサーチは、これをドコモ関西の携帯電話サービスの評価などを聞くアンケートに利用した。総務省は「(個人情報の)第三者への目的外提供」にあたり、個人情報保護法が全面施行されれば「抵触する恐れがある」としている。ドコモ関西は次回アンケートから解約者の同意を得る方式に改める。
ドコモ関西によると、日経リサーチには、携帯電話「ムーバ」の解約者を対象にした調査を委託。今回8月までに5回のアンケートが実施され、延べ約2万4400人分の住所氏名を提供した。
8月には6月に解約した約5000人分を提供した。日経リサーチ大阪支社が8月上旬、ドコモ関西から情報を収めたMO(光磁気ディスク)を受け取り、中旬からアンケートを郵送した。
同支社は回収と集計▽謝礼の発送などを請け負った。提供の個人情報は、9月中旬までにドコモ関西に返却したという。 現在、ドコモ関西以外のグループ8社のうち、九州を除く7社が解約者を対象にしたアンケートをしている。いずれも窓口でアンケート用紙を手渡し、本人の同意を取っている。
総務省消費者行政課の話 今回の件は本人の事前の同意なしに目的外に利用したり、第三者に提供したりしている点で、個人情報保護法が全面的に施行されれば違反になる恐れがある。
電気通信事業者 求められる厳格な取り扱い
<<解説>>05年5月までの全面施行される個人情報保護法は「本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定めている。今回のような業務委託先の場合は、法が想定する「第三者」にあたらないとの規定も設けられているが、「利用目的の達成に必要な範囲」という厳しい条件が課せられている。専門家は「個人情報を扱う会社は法の趣旨を十分に理解し、早く問題点を改めるべきだ」と指摘しており、顧客本人の同意を得るシステムの確立などが急務となる。
ドコモ関西は99年、「お客様情報セキュリティポリシー」を定めた。顧客情報の収集を、サービスの提供・料金請求などに必要な場合に限ることが明記されている。
同ポリシーには「業務遂行に必要で情報を内部で利用する場合であって、相当な理由があるとき」は「目的外利用」を認める項目がある。ドコモ関西はこれを根拠に、今回の情報提供を「例外的に認められた利用方法にあたる」と説明している。
しかし、通信の秘密と直接かかわる電気通信事業者には、個人情報について特に厳しい取り扱いを求める「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」が定められており、ドコモのポリシーもこれに沿って設けられた経緯がある。その影響力を考えると、個人情報の扱いにはより慎重な姿勢が求められる。 |
しっかし、ドコモ関西のHPって偉く重い…(ぼそッ)
2つのウインドウで開いたら、WindowsMediaPlayerで再生してた宇多田ちゃんが、まるで傷ついたドーナツ版のように、永遠同じところを繰り返しはじめた…
そいえば、関連記事を載せるのを忘れてました。これらは上記(朝日新聞)に比較して、より冷静な表現を用いていると思います。
【関連記事】
ドコモ関西、解約者などの個人情報24,000件を調査会社に提供 (2003/11/26 INTERNET Watch)
ドコモ関西、携帯電話解約者名など調査会社に提供 (2003/11/26 Mainichi INTERACTIVE)
ドコモ関西:携帯電話解約者の氏名、住所を調査会社に提供 (2003/11/26 毎日新聞)